文末の連続とは

文章を書くとき、文末の連続に悩んだことのある方も多いのではないでしょうか。文末が連続した文章とは以下のようなものです。

このツールを使用することで、お客様の過去の購読履歴や嗜好を分析し、個々の顧客に合わせた書籍の推薦やパーソナライズされたプロモーションを展開することができます。さらに、顧客の反応や行動はリアルタイムで追跡することができます。それに基づいてマーケティング戦略を動的に調整することで、顧客の満足度を高めることができます

1つ目は、職員や生徒から要望や意見を集めることです。まずは職員の意見の収集です。次に生徒との対話です。そして学校の予算の使い道を生徒による投票で決める「全員参加型プロジェクト」によって最終的な結論を全員で決めるのです

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文末の連続は文法的に誤りなのか

文末の連続が文法的に必ず誤りかというと、そういうわけではありません。文法書でも、文末が連続しているからといって誤りだという記載を見つけることはできません。

読み手の立場から考えても、実際のところ、文末が連続しているからといって、読み手の誤解を生んだり、分かりにくさにつながったりした経験のある方は、それほどいないのではないでしょうか。

文末が連続していると何がまずいのか

では、文末表現に気を配る必要はないのでしょうか。

文末表現に関する歴史的な言及を確認すると、言語学者の瀬戸賢一は「同じ文末を繰り返すと文章が単調になる」と指摘しています。文豪である谷崎潤一郎、井上ひさし、三島由紀夫、本多勝一、丸谷才一も同様に、文末の連続について以下のように述べています。

日本語の文末の異様なばかりの単調さである。この問題について触れていない文章教習書は「ない」と云っても過言ではない
(井上ひさし『自家製 文章読本』)

「一種の文体として『だった』を使っているかのようだが、たとえ文体としても、これではあまりに繰り返しが鼻につく」「あんまり繰り返されるといやみが出てくる」
(本多勝一「日本語の作文技術」)

そこでわれわれの文章は、ともすれば文末でせっせと同じ韻を踏みつづけるやうな単調さに陥りがちだし、その単調さは究極のところ、文章全体の平板さ、鈍感さ、眠気を誘ふ漢字を作り出すことになる
(丸谷才一「文章読本」)

彼らの共通した意見として把握しておきたいのは、「日本語は文末が連続すると単調になり、文章全体が変化に乏しくなる」ということです。瀬戸賢一は「文章に律動感や躍動感を与えるには、文末をくふうして変化をつけるのがまず一番」とも述べています。

文末の連続を解消するにはどうすればよいか

それでは同じ文末を連続させないためには、どうすればよいのでしょうか。

1. 間に常体を挟む

「ですます調(敬体)」の間に「だである調(常体)」を挟むのが一つ目の解消法です。例えば、この記事のはじめに例に挙げた文章は、以下のように修正することができます。

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以下の例では「です」の連続に対して「〜する」「〜繰り返す」のように常体を挟み込んでいます。

1つ目は、職員や生徒から要望や意見を集めることです。まずは職員の意見の収集です。次に生徒との対話です。そして学校の予算の使い道を生徒による投票で決める「全員参加型プロジェクト」によって最終的な結論を全員で決めるのです

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このように「〜できる」「〜する」といった常体を、敬体の間にサンドイッチのように組み合わせることで、文末の連続を回避することができます。ですます調、だである調は、必ず統一しなければならないと教えられた方もいるかもしれませんが、このように敬体と常体を混ぜる手法は実際の文章ではよく見られます。

2. 過去形と現在形を混在させる

2つ目の解消法は、「〜た」などの過去形や完了形で終わる文と、現在形を混在させる方法です。例えば以下の例のように「〜ます」の連続の中に「〜ました」を混ぜることによって連続を回避することができます。

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文末の連続に、文章校正ツールを活用する

文末の連続は人の目で見て気付くこともできますが、効率的にミスなく発見したい場合には、校正ツールを活用する方法があります。AI文章校正ツール「wordrabbit」では以下の画像のように、文章を貼り付けるだけで文末の連続が自動的に検知されます。

文章校正ツールによる文末表現の連続の検知

AIの提案する修正を確認したら、必要に応じて反映するだけです。従来のツールでは見逃されがちな細かな誤りも見逃さず、文章の精度を向上させることができます。

【参考】文末とはどこまでを指すか

「文末」がどこからどこまでを指すのかは、大きく分けて次の3つの立場があります。

1. 述語全体を文末とする立場

1つ目は、述語全体を文末として考える立場です。例えば、以下のようなケースでは、述語である「走ります」を文末として捉えることができます。

兄が校庭を走ります。弟も走ります。その横で私はおにぎりを食べます。そんな日常が好きなのです。

2. 助動詞を文末とする立場

2つ目は、文末の助動詞のみを文末として考える立場です。例えば、以下のケースでは「ます」を文末として捉えることができます。

兄が校庭を走ります。弟も走ります。その横で私はおにぎりを食べます。そんな日常が好きなのです。

3. 最後の1文字だけを文末とする立場

3つ目は、文末の最後の1文字だけを文末として考える立場です。以下のケースでは最後の「す」のみを文末として捉えることができます。

校庭を走りま。弟も走りま。その横で私はおにぎりを食べま。そんな日常が好きなので

ただし、このように最後の1文字を文末として捉えて、文末の連続を回避するのは簡単ではありません。プロフェッショナルな作家として、このように細部までこだわることもできますが、現代日本語では文末のパターンが多くないため、難易度の高いものとなります。そのため、まずは1のように述語全体を文末として捉え、その連続を回避することによって文章の単調さから脱却することをおすすめします

文末の連続を解消して単調な文章から脱却する

文末表現の繰り返しを解消する方法を詳しく掘り下げました。現代語は文語とくらべて文末表現が乏しいと言われています。しかしそのような中でも工夫を凝らすことによって、単調さを感じさせない文章に仕上げることができます。この記事が、皆様の文章力の向上のお役に立てば幸いです。