著作権とは?ライターにとってなぜ著作権が大切か?

著作権とは、著作権者が著作物を無断で利用されない権利です。著作権法という法律で守られた権利で、英語ではコピーライト(copyright)といいます。

実は、ライターは著作権に非常に関わりが深い職業です。それは、ライターが記事・原稿・ブログなどを書くときに著作権が発生するからです。日本では、著作権は登録を行う必要はありません。公開した時点で著作権が発生するのです。

著作権法に違反すると、記事の差し止めだけではなく、損害賠償の請求や名誉回復などの措置が必要になります。ライター自身だけではなく、クライアント企業にも損害が及びます。そのためライターは、他の著作物の権利を侵さないように注意しながらライティングを行う必要があります。

さらに、著作権についてよく理解しておくことで、自分の権利を守ることもできます。万が一、自分が書いた文章が無断で使われたり、改変されたりした際に著作権について理解しておけばトラブルを避けることができます。

ライターにとって著作権の知識が大切な理由

  • ライターが原稿を書くと、著作権が発生する
  • 他人の著作物を侵害すると、損害賠償や訴訟になることがある
  • 著作権について理解することで、自分の文章が無断で使用・改変されるなどのトラブルを避けることができる

ライターがよく遭遇する、他の記事から文章を引用する際や写真や画像を使用する際の注意点をはじめ、著作権の基本的なポイントを5つご紹介します。

ポイント1. 原稿に引用文を使いたい時の注意点

ライターが文章を書く際には、他の書籍や記事を参考にして記事を書くことがあるかと思います。その際には、「パクリ」や「コピペ」にならないように慎重に注意する必要があることは有名です。

しかし、どこまでがNGでどこからがOKなのでしょうか?どこまでがセーフかを知るためには、引用や転載について理解する必要があります。

引用の注意点

他人の文章を引用したい場合→5つの条件を守って引用する

引用とは、自分の文章の中に他人の文章を紹介することを指します。
実は、引用自体は著作権法32条1項で、一定の条件を満たせば公表されている著作物を引用してもよいと決められています。

しかし、引用には以下の5つの条件があります。

他人の文章を引用する場合の5つの条件

  • 公表された著作物であること(手紙やメールは引用NG)
  • 引用するものと引用されるものが、明瞭に区別されている必要がある。
  • 引用するものと引用されるものが、主従の関係にあること。
  • 出所を表示する
  • 著作者人格権を侵害しないこと(著作者の意に反する改変をしない)

最も重要なのは、引用はあくまで補足的内容である必要があるという点です。色々なサイトからコピーした上で、それをつぎはぎするいわゆる「コピペ」は著作権違反です。引用を行う場合には、量的にも内容的にも、自分のオリジナルの文章が主、引用の文章が従となるようにすることが重要です。

また、引用を行う場合には、どこからどこまでが引用かがわかるように、囲みやカギカッコなどで明確に区別するというルールがあります。さらに、出所を記載することも大切です。ウェブサイトであれば、記事タイトルとURLを記載しましょう。書籍からの引用であれば、タイトル・著者名・出版社・出版年・引用箇所のページ数を併記し、引用箇所は改変してはいけません。

他人の文章をリライトしたい→作成者の個性が表現されていることが重要

ライターは、他人の文章や著作物を参考にしながらリライトを行うケースが多々あります。

その場合、第三者の意見を参考に再編集したり、作成者の個性が表現されている場合には、元のコンテンツとは別の著作物となり著作権侵害にはあたりませんので安心してください。

ただし、よくあるケースとして、単語の表現を変えたり語尾を多少変更したりするだけでは著作権侵害になることが十分あり得ます。他人の著作物をただコピーしてまとめるのは著作権違反になります。

コピペではなく、オリジナリティのある記事であるという点が重要です。言い回しや表記を少し変えるだけの文章は作成者の個性が表現されているとはいえません。

引用と転載の違い

引用と似たもので転載という方法があります。

引用と転載の違いとして、転載は、すでにWeb上に公開されている文章を、別の媒体にもそのまま掲載することを指します。引用は、自分の書いた文章の中に他人の書いた文章の一部を掲載することを指します。

無断で転載すると、著作権違反になるので、許諾を得る必要があります。ただし、国や地方公共団体が作成した資料については、許可なしに転載してもよい(著作権法32条2項)というルールがあります。

転載を行う場合の5つの条件

  • 転載をする場合にも、もとの文章や写真は改変・加工してはいけない。
  • 転載元の文章が区別できるようにしなくてはならない。

引用の場合は条件を守れば許可を得る必要はありませんが、転載の場合には著作者の許可を得ることが必要となります。

ポイント2. 原稿に写真を使いたい時の注意点

原稿に写真を使用する際には、著作権や肖像権を侵害しないように注意する必要があります。

原稿に写真を利用する時の注意点

肖像権とは?

人が写った写真を使用する時に関わってくるのが、肖像権という権利です。

肖像権とは、容姿を勝手に撮影されないこと、撮影された写真を勝手に公表されないことを定めた権利です。

肖像権は、写真を撮られた人の保護のための権利で、憲法13条に定められる「個人の私生活上の自由の1つ」です。肖像権のはじまりは写真機の発明だと言われています。

みだりにその容姿などを撮影されないこと(無断で撮影されない)、自己の容姿などを撮影された写真をみだりに公表されないこと(無断で公表されない)が、権利として認められています。

肖像権とは

  • 容姿を無断で撮影されない権利
  • 撮影された写真を無断で公表されない権利

人物が写った写真を使いたい場合→許可が必要

文中に写真を使用する際には、写真に写った人の肖像権を侵害しないように注意する必要があります。つまり、被写体に無断で撮影した写真や、写真に写っている人に許可をとっていない写真については使用してはいけません。

さらに覚えておきたいこととしては、人物が写った写真でも、問題なく使用してよいケースと、使用してはいけないケースがあります。

使用してもよいケース

  • 公共の場(イベント会場や観光地)の写真に人が写り込んだ写真
  • 写っている人が誰か特定できない写真

使用に注意が必要なケース

  • 公共の場でも、海水浴場で水着姿などの人が写っている写真
  • 公共の場でも、構図のメインに人がはっきり写っている写真
  • 子供が写った写真

特に子供を撮影した写真を使用する際には、トラブルになりやすいので、慎重に配慮して本人や親権者の許可を得るようにしましょう。

人が写った写真を使用する際に注意する点

  • 写っている人が誰か特定できないような写真を選ぶ
  • 人がはっきりと写っている写真を使う場合は、本人の許可を取ってあるかを確認する必要がある
  • 子供の写真は、慎重に許可をとる

本の表紙を撮影した写真を使いたい場合→出版社の許可が必要

雑誌や書籍の表紙を撮影した写真はどうでしょうか。実は、表紙を撮影した写真の無断使用は著作権の侵害になり得ます。出版社によってルールが異なるため、表紙の画像を使いたいときは、出版社に確認してから使用しましょう。

雑誌の表紙を撮影した写真を使いたい時

  • 基本的には使用してはいけない
  • 使用したい場合は、出版社に問い合わせる

動物の写真を使いたい場合→施設側に確認が必要

動物は、物の扱いのため肖像権は認められていません。そのため、個人利用であれば問題ないケースがほとんどです。

ただし、商用利用の場合には、動物園や水族館などの施設側で撮影のルールを設けているケースがあります。動物の写真を撮って記事やブログに使いたいという場合には、事前の許可が必要なことがあるため、施設に相談をしてから撮影しましょう。

個人利用でも、インターネット上にアップするTwitter、Facebook、Youtubeへのアップは禁止されていることもあります。トラブルを避けるためにも、ルールを守って撮影された写真のみを使用しましょう

動物を撮影した写真を使いたい時

  • 商用利用では、施設側でルールを設けていることがある
  • ルールを守って撮影された写真のみを使用する

著作物がうしろに写ってしまった写真を使いたい→極力、使用しない方がよい

キャラクターや絵画などの著作物が、後ろに小さく映り込みをしてしまった写真の使用は、多くの場合は問題ありません。付随対象著作物の利用(著作権法30条の2)といって、著作権侵害にはあたりません。

ただし、大きく写り込んでしまうとトラブルになってしまうこともあります。実際に、有名な絵画が後ろに写っていたことでトラブルになったケースもあります。壁に有名な絵やポスター、看板がうつりこんでいる写真の使用には注意が必要です。

背景に絵画やポスターが入った写真を使いたい時

  • 大きく写り込んでいるとトラブルになるケースもある
  • 背景にキャラクターや絵画が写り込んだ写真は極力使用しない方がよい

ポイント3. 原稿に画像を使いたい時の注意点

原稿中に必ずといっていいほど使用する画像。画像にも使用してもよいものとNGなものがあるのはご存知でしょうか。著作権は侵害した時に「知らなかった」が通用しない法律です。使用しても問題ない画像を理解したうえで、記事の画像を選定するようにしましょう。

原稿に画像を利用する時の注意点

フリー素材を使いたい場合→利用規約の確認が必要

多くの原稿に使用するフリー素材ですが、実はフリーの画像素材といっても、何にでも好きに使用できる画像という意味ではありません

フリー素材にも、
・個人利用に限っているもの
・利用用途が限られているもの(アダルト・消費者金融は禁止など)
・使用用途に制限がないもの
があります。

また、フリー素材の中でも顔がはっきりわかる人物が入っている場合には、モデルリリース(肖像権使用許諾)を得ている画像かどうかの確認を行なっておきましょう。万が一の場合のトラブル防止になります。

画像をどういう用途で使用してよいかは、利用規約に記載があります。自身の利用用途が問題ないかどうかは事前に確認しておきましょう。国内のフリー素材ダウンロードサイトの殆どは問い合わせ窓口を設けているため、先に質問しておくのもよいでしょう。利用規約は途中で変わることがあるので、ダウンロードした時点の利用規約を保存しておくのがおすすめです。

以下におすすめのフリー画像素材サイトを紹介します。必ず利用規約を確認のうえ、利用用途に不明点があれば問い合わせのうえで使用しましょう。

フリー素材サイトの一覧

国内のフリー画像(有料)
Photo AC
無料会員は、検索数の制限やダウンロードの待ち時間がかかります。有料会員は月額1000円程度で制限なく使用できます。
pixta
有料で写真が購入できます。会員プランによって40円〜3500円程度でダウンロードできます。

国内のフリー画像(無料)
ぱくたそ
ビジトリーフォト

海外のフリー画像(有料)
Shutter Stock
会員プランによって1枚40円〜1200円程度でダウンロードができます。
Adobe Stock
会員プランによって1枚33円〜6000円程度でダウンロードができます。

海外のフリー画像(無料)
unsplash
Pexels
Pixabay
Gratisography

ウェブサイトのスクリーンショットを使いたい場合→運営者に許可を得る

ウェブサイトのスクリーンショットや画面キャプチャを取って、ブログや記事などに利用するのは、複製権(著作権法21条)と公衆送信権侵害(著作権法23条)になる可能性があります。キャプチャを使用してもよいか、ウェブサイトの運営者に許可を得るのが原則です。

引用として掲載する場合には、出典がわかるようにサイト名・URL・アプリ名を記載しておきましょう。独自の引用ルールを設けているサービスもあるため確認が必要です。

イラストを使いたい場合→利用規約の確認が必要

イラストにも著作権があります。イラストの著作権はイラストレーターにあり、本人と特定できるイラストの場合には、モデルにも肖像権があります。そのため、本人と特定できるようなイラストの場合には、モデルの許可をとっていることが必要です。

フリーのイラスト素材サイトの一覧

有料イラスト素材サイト
イラストAC
無料会員は、検索数の制限やダウンロードの待ち時間がかかります。有料会員は月額1000円程度で制限なく使用できます。

無料イラスト素材サイト
いらすとや
イラストレイン
いらすとん

ポイント4. 著作権の基礎知識

次に、ライターが著作権について覚えておきたい基礎知識をご紹介します。

著作権の基礎

著作権の種類

著作権は「財産的な意味を持つ著作権」と「著作者人格権」という、大きく2つの権利に分けられます

1. 財産的な意味を持つ著作権

財産的な意味を持つ「著作権」とは、書いたものが無断で複製・翻訳されたり二次利用されないための12の権利を指します。12の権利の中でも、特にライターに関係するものを紹介します。

財産的な意味を持つ著作権とは

  • 複製権
  • 翻訳権
  • 二次的著作物の利用に関する原著作者の権利 など12の権利

複製権。複製権とは、著作物を勝手にコピーやパクリをされない権利です。

翻案権(二次的著作物創作権)。翻案権とは、著作物をもとに二次著作物(原作をベースにした翻訳物や漫画など)を勝手に作成されない権利です。

二次的著作物の利用に関する原著作者の権利。著作物をもとに作成された二次著作物が、勝手に利用されない権利です。

財産的な意味を持つ著作権の特徴は、他人に譲渡できるという点です。ライターがクライアント企業に著作権を譲渡するといった場合は、この「財産的な意味を持つ著作権」を譲渡することを意味します。

2. 著作者人格権

人格的な利益を保護するのが「著作者人格権」です。著作者人格権は、公表権・氏名表示権・同一性保持権の3つの権利を指します。

著作者人格権とは

  • 公表権
  • 氏名表示権
  • 同一性保持権

公表権とは。公表権は、著作物を公表するかどうか、いつ公表するかを決められる権利のことです。

氏名表示権とは。氏名表示権は、著作物の公表時、著作者名を公表するのかしないのか、公表するとしたらどんな風に公表するのか(本名・ペンネームなど)どうするか決められる権利のことです。

同一性保持権とは。同一性保持権は、著作物の内容やタイトルを意に反して改変されない権利のことです。この同一性保持権が、最もトラブルになりやすい権利です。著作物のタイトルや内容を編集者側が許可なく変えてしまうことが、執筆者の権利を犯してしまうことになります。

著作者人格権の特徴は、譲渡できないことです。つまり、ライターがクライアント企業に著作権を譲渡しても、著作者人格権はライターに残るということです。ただし、クライアント側も納品後に著作者人格権をむやみに行使されても困るので、通常、契約書には「ライターは著作者人格権を行使しない」という表記がされます。

著作権の保護期間は死後50年

著作権は、永遠にあるわけではありません。著作者が亡くなってから50年が保護期間だと覚えておきましょう。

例外として、団体名義の著作物や、著作者が不明な場合などは公表から50年になります。

cマークとは何か

本や資料などで「©︎」マークを見かけたことがあるのではないでしょうか。

「©︎」マークは、マルシーマーク・マルシー表示と読みます。「©︎ Tanaka Taro 2017」のようにマルシーマーク・著者名・年号がつくことで、著作物が何年に誰から発行されたのかを示すというルールがあります。基本的な知識として、覚えておきましょう。

著作権が侵害された場合に請求できること

著作権が侵害された場合には、差し止め、損害賠償を請求することができます。

著作権が侵害された時に請求できること

  • 差止請求(著作権法112条)
  • 損害賠償請求(民法709条)

差止請求とは。差止請求とは、著作権侵害をやめて欲しいと請求することです。

損害賠償請求とは。著作権を侵害した者に対して、被った損害の賠償を請求することができます。

また、著作人格権を侵害された場合には、名誉回復などの措置(著作権法115条)や、謝罪広告の掲載などを求めることもできます。刑事罰の規定もあります(著作権法119条)が、このようなトラブルの被害に遭うことも、加害者になることもないように、著作権法については日頃から勉強しておきましょう。

ポイント5. 執筆した文章をポートフォリオに公開する時の注意点

ライターとして仕事を行ううえで欠かせないのがポートフォリオです。ポートフォリオとは、ライターが執筆した文章を一覧にまとめたものです。

ライターのポートフォリオの注意点

実は、自分が書いたからといって、無断でポートフォリオに記事を公開するとトラブルになるケースがあります。

ライティングしたものの著作権をクライアントに譲渡した場合には、ポートフォリオを公開するにはクライアントの許可が必要となります。著作権を譲渡するのではなく、利用許諾のみの場合には、著作権はライターに残り、その場合はポートフォリオとして作品を公開することができます。

ポートフォリオの公開で注意すべき点

  • 著作権を譲渡した場合→クライアントの許可が必要
  • 著作権は譲渡せず利用許諾のみの場合→クライアントの許可は不要

「契約書で著作権に関する取り決めがない」という場合には、著作権はライターにあることが多くなりますが、どのような話し合いを行なっているかにもよるため専門家への相談をおすすめします。

契約書によくある著作権に関する文言

  • ●●(ライター)は△△(クライアント)に、検収完了時に成果物に関する一切の著作権(著作権法27条及び28条に規定する権利を含む。)を譲渡する。
  • ●●は△△に対し、成果物の著作者人格権を行使しないものとする。
  • ●●は、ウェブサイト、印刷物、その他媒体を問わず、△△による成果物の公表以降、成果物を自身のポートフォリオとして公表することができる。

3つめのポートフォリオに関する文章を入れていることで、著作権を譲渡した場合もポートフォリオへの利用ができるようになります。契約は一度結んでしまうと、あとで変更するのが大変です。トラブルにならないためにも、ポートフォリオとしての利用ができるように打診することを忘れないようにしましょう。

さいごに

ライターが知っておきたい著作権の知識やポイントについてご紹介しました。

著作権は、フリー素材を使う際や他人の文章を引用する際に、ライターが必ず知っておきたい知識です。著作権を知らなかったことで他人の権利を侵害してしまった場合にも、「知らなかった」では済まされないのが特徴です。意図せず侵害してしまった際は、クライアント企業に多大な迷惑をかけたり、損害賠償の請求対象になってしまうこともあり得ます。

プロのライターを目指すなら、著作権は必須です。著作権を侵害しないためにも、侵害されないためにも、必ず覚えておきましょう。

#ライターの契約・法律