そもそも確定申告とは何か?

確定申告とは、1年に1度、所得税の額を計算して税務署に申告する手続きのことですよね。

所得税といえば、稼いだ金額によって変わってくる「税金」ですね。

最初から難しい用語が出てきましたね。別の言い方をするとこういうことです。

会社員の時には、会社が確定申告に代わって「年末調整」の手続きを行なってくれていましたが、フリーランスになると自分自身で経費の計算や税務署への申告を行う必要が出てくるのです。

確定申告を行うことで、1年のうちで払いすぎていた税金(所得税)が調整されます。確定申告の対象は、事業の所得がある人ですので、ライターも確定申告の対象です。税金の過不足を清算するため、税金を払いすぎている場合には数万円が戻ってきます。

フリーランスや副業のライターにとっては、確定申告でお金が戻ってくるケースも多いので、確定申告は必ず行ったほうがよい手続きでもあります。

この記事では、
・ライターの確定申告の特徴
・ライターの確定申告の流れ
・ライターの確定申告で経費にできるもの
について簡単にご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。

確定申告の時期・期間はいつまでにやればいい?【2020年の確定申告期間】

2020年の確定申告の期間は、2020年2月17日(月)〜4月16日(木)です。
参考:国税庁、令和元年分の確定深刻に関する手引き等

毎年この時期に行われており、所轄の税務署で申告を行うことができます。2020年の締め切りは3月16日(月)と国税庁から公表されていますので、締め切りを過ぎないように注意が必要です。

※2020年2月27日(木)時点、新型コロナウイルスの影響で、確定申告の締め切りを3月16日(月)から4月16日(木)へ延長する方針が公表されました。

ライターの確定申告はいくらから?

税務署の方に確認したところ、ライターは額に関わらず確定申告を行ったほうが得なケースが多いそうです。

一般的には、専業の場合は38万円以上の所得の場合、副業の場合は20万円以上の所得の場合に確定申告を行うとされていますが、ライターは事情が少し異なります。

その理由は、ライターが行なっている業務内容に関係しています。ライターがクライアントに「原稿料」を請求する時、原稿料から10.21%が源泉徴収されていることはお気づきでしょうか?

源泉徴収とは何か?

源泉徴収についてもう少し詳しく説明します。源泉徴収とは、報酬を支払っているクライアント企業が、ライターに代わって所得税等の税金を差し引いて納税してくれるという制度です。

クライアント企業から振り込まれた原稿料から1割ほど自動的に引かれていたという経験がある方は、それが源泉徴収です。企業がライターに代わって10.21%の所得税を納税してくれているのです。

源泉徴収の税率

  • 支払いが100万円以下の場合:10.21%
  • 100万円を超える場合:(A-100万円)×20.42%+102,100円

なぜ勝手に1割も差し引かれているの?と疑問に思う方もいるのではないかと思います。その理由は、ライターが行なっている業務である「原稿の執筆」が、国が定める源泉徴収の対象になっているためです。

注意点
法律では企業が「原稿料」として支払いを行う場合には、源泉徴収を行わなくてはならないルールです。しかし、クライアント企業の税務処理によっては、知らなかったり面倒を避けるために「原稿料」以外の名目で発注することで源泉徴収が行われずにライターにそのまま支払っているケースも存在します
源泉徴収されているかどうかは、ライター自身が契約書や支払い調書を確認したり、企業に確認する必要がありますので覚えておきましょう。

源泉徴収は、実際に確定申告を行う時に理解しておきたいポイントとなりますので覚えておきましょう。

確定申告のための事前準備

次に、ライターの確定申告を行うための事前準備について解説します。

ライターの確定申告の事前準備

  • 事前準備1. 開業届を出す
  • 事前準備2. 青色申告・白色申告のどちらにするかを選ぶ

事前準備1. 開業届を出す

ライターは事業を始める際に、税務署に開業届を出しておく必要があります。開業届とは、いつからどのような事業を行なっているかを税務署に申請する届出です。

開業届

「まだ規模が小さくないから開業届は出さなくてよいと聞いた」「もっと収入が増えてから開業届けを出そうと思っている」というライターの方もいるのではないでしょうか?

ただ、筆者が税務署に問い合わせたところ、開業届を出しておかないと確定申告で経費が申請できないそうなので経費を申請したい場合には規模に関わらず開業届は先に出しておく必要があります。

開業届には開業日を書く欄があり、原則としては開業日以降のものが経費として申請できるとのことです。ただし、開業届は日付を遡って出すことも可能だそうです。例えば、2019年の8月に開業した場合で開業届を提出するのを忘れていた際には、開業日のところに実際の開業日を書いたうえで2019年中に開業届を提出すれば問題ないそうです。

税務署の担当者によっても異なるそうなので、最終的には所轄の税務署にご確認ください。

事前準備2. 青色申告・白色申告のどちらにするかを選ぶ

確定申告の方法を、青色申告にするか白色申告にするかを選びます。

青色申告とは、帳簿をつけたりする手間がかかる代わりに節税効果が大きい申告方法です。反対に白色申告は、帳簿をつける手間はかかりませんが節税効果も小さくなる方法です。

ただ白色申告もそこそこ大変のため、メリットが大きい青色申告を選ばない理由はないというのが最近の流れです。

青色申告の節税効果

参照:はじめてみませんか?青色申告

青色申告についてもう少し詳しく紹介します。青色申告を行うと、65万円分の控除を得ることができるというメリットがあります。控除とは、自分の収入から経費以外に引いてもよい額を意味します。引ける額が大きいほど所得税が少なくなるため、まだ検討中の方は国税庁の青色申告についてのページを確認することをおすすめします。

青色申告とは

  • 事前に開業届と青色申告承認申請書を税務署に提出する必要がある
  • 帳簿をつける必要がある
  • 65万円の控除が受けられて、節税効果がかなり大きい(10万円分の控除が受けられるタイプの青色申告もありますが、メリットはあまりありません)
  • 赤字を3年間繰り越せる
  • 家族への給料を経費にできる
  • 30万円未満の償却資産を一時期で必要経費にできる

ライターの確定申告のやり方・流れ【4ステップ】

次に、ライターが確定申告を行う際の基本的なやり方や流れについて解説します。ステップ1と2をきちんと行なっておけば、確定申告の書類を書くこと自体はそれほど難しいことではありません。

面倒ではありますが、事業を行なって収入を得ている以上、売り上げと経費の計算は日々コツコツと行なっておくと便利です。

ライターの確定申告の流れ

  • ステップ1. 売り上げを計算する
  • ステップ2. 経費を計算する
  • ステップ3. 申告書を書く
  • ステップ4. 期限内に確定申告する

ステップ1. 売り上げを計算する

まずは、1年間に稼いだ売り上げ金額を計算します。
売り上げの総額を計算するためには、まず売り上げや報酬の内容がわかる明細を用意しましょう。

明細としては、クライアント企業との契約時の書面やクライアント企業からもらった支払い調書が便利です。確定申告時には、明細の提出は不要ですが、クライアント企業の情報や、報酬の金額、源泉徴収が引かれているかどうかなどの情報は必要となります

支払い調書とはこのようなものです。
支払い調書

ただし、企業にはライターに支払い調書を渡す義務は一切ありません。そのため、支払い調書をくれる企業とくれない企業があるのが実情です。もしもらえない場合のためにも、支払い調書に書いてあるような内容(金額、支払い者の情報、源泉徴収額)がわかるような契約書などはきちんと保管しておきましょう

確定申告の売り上げは、1月1日から12月31日までのものですが、年をまたぐ契約の場合は、売り上げが確定した日(検収が完了したタイミング)が12月31日までの場合には、当年の売り上げに含めます。検収完了が翌年になってしまった場合には、翌年分の売り上げとして処理します。

ステップ2. 経費を計算する

次に、1年で使った経費の合計金額を計算します。

必要なのは経費の合計額のため、確定申告の際に領収書の原本を提出しなければならないわけではありません。ただし、税務調査などで求められた際には根拠となるものを提出できるようにしておかなければならないため、領収書の原本は5年間は保管しておく必要があると覚えておきましょう。

それ以外にも、経費については基本的には以下のようなことに気をつける必要があります。

ライターの経費の基礎知識

  • 領収書は必ず取っておく
  • 領収書を無くしてしまった場合には、詳細をメモに残しておく(ただし、基本的にはなくしてしまうと経費として認められない)
  • 打ち合わせの領収書の裏には「誰と・何の件か」のメモを残しておく
  • タクシーの領収書の裏には「どこからどこまで・何の用事か」のメモを残しておく

ただし、領収書を取っておけば全てが経費として認められるわけではありません。「仕事に使ったもの」としてライターが経費にしやすいものとしにくいものがあります。

ライターが経費にしやすいもの

  • 仕事用のパソコン購入費
  • 新聞や書籍代
  • 移動費(電車やタクシー)
  • 仕事で使う携帯代
  • 取材や打合せのためのカフェ代、会食費
  • レンタルオフィスの利用料
  • 在宅ワークのためのデスク購入費
  • 勉強のためのセミナー代
  • 資格試験の受験料・教材費
  • 書類郵送のための切手代
  • 資料の印刷代

逆に、業務に関係がないものについては経費にしにくくなります。

ライターが経費にしにくいもの

  • 美容院の費用
  • 洋服の購入費
  • スーパーでの買い物
  • コスメの購入 など

ただ、「講師として登壇する」「記事を書くために購入が必要だったもの」など、実際の仕事に使ったものについては経費として認められます。このあたりは不安があれば事前に税務署に確認しておくことをおすすめします。

さらに、在宅でライターをしている場合は、以下についても「事業用4:個人用6」のような形で按分することで一部を経費にすることができます。

在宅ライターが経費にしやすいもの

  • 家賃
  • 通信費(インターネット代、サーバー代)
  • 水道光熱費

経費は細かなものが多く、領収書の整理も大変ではありますが、税金を抑えて還付を増やすことができるため、コツコツと計算しておくと便利です。

ステップ3. 申告書を作成する

確定申告の申告書の作成方法としては、手書きで書く方法とネットで作成する方法があります。ネットで作成する方法の方が、自宅でできて、税額も自動で計算されるので便利です。

ネットで作成する場合には国税庁の『確定申告書等作成コーナー』で作成できます。ネットで申告書を作成した後は、郵送かe-Taxという電子申告で提出することができるので税務署に行く必要もありません。

白色申告と青色申告で準備する書類が違いますが、申告書としては確定申告書Bが必要です。

確定申告の提出書類

  • 白色申告で必要な書類: 収支内訳書・確定申告書B
  • 青色申告で必要な書類: 青色申告決算書・確定申告書B

青色申告決算書には、損益計算書と貸借対照表が必要となります。損益計算書は経費や売り上げを記載する書類で、貸借対照表は資産や負債を記載する書類です。

確定申告書Bの書き方としては次のようになります。確定申告書Bは、所得税の額を計算して申告する書類のことです。

確定申告の申告書の書き方例

参照:国税庁『確定申告書の記載例』

確定申告書Bの手引き青色決算申告書の書き方を参考にして記載しましょう。

ステップ4. 期限内に確定申告を提出する

最後に、確定申告を提出します。提出方法には、e-Taxで電子申告する方法と郵送で送る方法があります。

確定申告の提出方法

参照:国税庁HP

e-Tax(読み方はイータックス。電子申告のこと)で行う場合には、利用前の申請や、ICカードリーダーを準備しておく必要もあります。

郵送で送る場合には、所轄の税務署に送ります。どの税務署に提出すればよいかが分からない場合には、国税庁HPにある税務署の一覧から検索することができます。

確定申告の提出方法・提出先

  • 郵送で送る場合:所轄の税務署に提出
  • e-Taxで送る場合:事前申請、ICカードリーダーが必要

確定申告は期限があるので、トラブルを避けるためにも早めに提出しておくようにしましょう。

副業ライターの確定申告【いくらから?副業も確定申告する必要がある?】

副業ライターの場合にも、専属フリーランスのライターと同じように、開業届け・確定申告が必要です。

一般的には、副業での所得が20万円以下の場合には確定申告は行わなくてもよい、いわゆる「20万円ルール」がありますが、ライターの業務は源泉徴収の対象のため、クライアント企業が源泉徴収している場合には、確定申告によって源泉徴収分が戻ってくるからです。

勘違いする方が多いで補足すると、所得は売り上げではありません。[所得]=[売り上げ]-[経費] の額です。経費を引くことがポイントです。

副業ライターの場合は、まずは自分が行なった案件が源泉徴収されているかどうかを確認してみましょう。クライアントとの契約書や注文書などで確認することができます。また、所得が20万を超える場合には、専属のライターと同じように確定申告は必要となりますので覚えておきましょう。

副業ライターの確定申告のポイント

  • 所得が20万より少ない場合も、源泉徴収された所得税が戻ってくる可能性があるので、源泉徴収されているかどうかを確認する
  • 所得が20万より少ない場合は、手間と還付される金額(数千円〜数万円)を加味して、確定申告するかどうかを決める
  • 所得が20万を超える場合には、副業ライターであっても確定申告は必要

確定申告についての問い合わせ先

ライターの確定申告は覚えてしまえばそれほど難しくありませんが、「この場合はどうする?」「私の場合はちょっと状況が特殊で……」ということもよくあると思います。

そのような場合には、税務署に問い合わせを行うことをおすすめします。

実は、税務署の担当の方は非常に親切な方が多いです。確定申告の締め切り直前問い合わせも時間がかかってしまうので問い合わせは早めに行なっておくとスムーズです。

確定申告に関する国税庁のページ

電話相談窓口
電話相談窓口は、管轄または最寄りの税務署に電話し、相談内容に応じて「1、2、3」の番号を押すことで担当部署に繋いでもらえます。

【追記】税務署の担当者にライターの確定申告について聞いてみました

税務署

税務署の担当の方に、ライターの確定申告で気になるポイントを質問してきましたのでご紹介します。

税務署の担当者によっても回答が異なる場合もあるようなので、最終的には所轄や近所の税務署にお問い合わせください。

ライターは青色申告と白色申告、どちらがお得ですか?

税務署の方:
青色申告は帳簿を正しくつける必要があるため、慣れないうちは手間がかかります。その代わりに節税効果があるというメリットがあります。ポイントは帳簿が作れるかどうかです。帳簿がつけられる場合には青色申告を選ぶ方が多いです。

ライターはいくらから確定申告をすべきですか?

税務署の方:
38万円や103万円という話がありますが、額は関係なく確定申告をした方がよいです。特に、源泉徴収されているライターの方は、引かれている税金分が還付されるので確定申告を行ったほうがよいと思います。

確定申告の際には、売り上げを、源泉徴収されているものとされていないものに区別する必要があるのですか?

税務署の方:
源泉徴収されているのか、されていないのかという情報は必要です。そもそも、企業が「原稿料」としてライターに報酬を支払う場合には、源泉徴収(所得税10.21%をライターに代わって国に収めること)を行う義務があります。しかし、企業によっては本来行うべき源泉徴収を行っていない場合もあります。源泉徴収が正しく行われている場合には、ライターの方に源泉徴収分の所得税の一部が戻ってくる可能性があります。

まとめ

フリーランスライターの確定申告についてご紹介しました。

原稿執筆を行うライターは、確定申告で源泉徴収分が戻ってくるというのが最大の特徴です。本業でライターとして働くフリーライターか、副業ライターかによっても、どのような手続きを行えばよいのかが異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。

はじめての場合、少し難しいと感じる確定申告ですが、次のことだけは覚えておくと便利です。

ライターが確定申告を行う際、覚えておきたいこと

  • 経費がわかるもの(領収書)は必ずとっておく
  • 売り上げがわかるもの(支払い調書や契約書)は必ずとっておく
  • 源泉徴収分が戻ってくることがある
  • 締め切り間近は混むので、早めに準備しておく
  • 不明点は早めに税務署に問い合わせしておく

最後に、税務署の方は親切な方がとても多いです。困った時には思い切って電話で相談してみましょう。本業のライティングに支障が出ることないよう、かしこく早め早めに動いておくとよいですね。

#ライターの契約・法律